あれ?
陣から返信来てないなぁ。
着替え終わってから携帯を見てみたけど、陣からのメールはなかった。
む〜?今日バイトの日だったっけ?
「返事来たか?」
早島先輩が、俺の携帯を覗き込む。
「来ないッス。おかしいな〜、いつもなら返事すぐくれんのに」
メール受信問い合わせしても、メールはありません、だ。
そしたら、早島先輩がくくくくくって笑った。
「なんで笑うんすかぁ?」
「いや。たぶんさ、返事も打てねぇくらいビックリしまくってんじゃねぇの?」
「なるほどっ」
「それより、部長がお好み焼きゴチってくれるってさ。行くだろ?」
お好み焼きって聞いただけで、お腹がぐるるって鳴った。
陣とも会えないし、断る理由もないよな。
「行くっス!」
こうしてこの日は、先輩達と涼とお好み焼き屋で騒ぎまくって終わった。
次の日。
講義に行く途中の廊下で、陣の姿を見つけた。
ラッキー♪
「じーんっ」
偶然会えたのが嬉しくて、すぐさま陣に駆け寄った。
「ねぇねぇ、昨日の俺のメールびっくりしただろ?」
「…………」
あれ?無言?
つか、目がちょい怖いのは気のせい?
「陣?」
もう一度呼ぶと、陣は足を止めて窓に寄り掛かった。
「お前さ、他人に携帯使わせたりするなよ」
ぐぁ!
俺が打ったんじゃない事バレてるし……!
「たっ、他人じゃねーもん。先輩だもん」
悔し紛れに言ってみるけど、陣には通用しない。
「ふーん…」
これってビックリしたんじゃなくて、怒ってる、ん、だよ、な?
なんで〜?!
「よぉ、加地」
オロオロしてたら、柄シャツ姿の早島先輩が歩いてきた。
「せんぱいぃ〜」
なんかフォローして!って目で訴えてみる。
「なに?オトモダチにいぢめられてんの?」
フォローじゃないしっ!
陣の目が余計鋭くなってるしっ!
「いぢめられてないっす〜」
「昨日のお好み焼きうまかったな〜」
…ぴくっ。
俺の頭の中に、昨夜食べたお好み焼きが浮かぶ。
「豚キムチっ!」
「あれ、絶妙だったよな〜。辛いの苦手でも食えただろ?」
「俺、キムチ好きになったかもっ」
「単純だな、お前」
はははっと笑いながら早島先輩が俺の頭をなぜた。
その時、ぐいっと腕が引かれた。
「今夜、キムチ炒飯作ってやるから来い」
「なにそれ、うまいの?」
「俺がお前にまずいモン食わせた事あるか?」
「ないっ!」
陣お手製キムチ炒飯かぁ……
う〜〜〜、どんなだかわかんねーけど涎出そうっ。
「いいか、部活終わったら来いよ」
「うんっ!!」
よかったぁ〜、陣の機嫌よくなったみたいだ。
目はまだ怖いけど、きっと勉強で目が疲れてるんだな。
「……単純だねぇ」
早島先輩は、また笑ってた。
陣の機嫌を直してくれた早島先輩は、やっぱすごいなって思った。