イタズラしちまえ!編 2

 

 

 今、目の前で起こってるコレは、何だ?!

 


 週末、たまには来て欲しい、と言われてグランドまでバカジを迎えに来た。
 ガランとしてるグランドで、水のみ場近くにいてた真奈美に声をかけたら、外周にでてると言われた。
 話をしていたら、ちょうどトップで早島のヤロウが戻って来て。
 物凄い勢いで帰ってきた早島は、クールダウンもしないでゴールを通りこして、こっちに突進してきて。
 で。

 


「よっしゃ、いただき!」
「何?!わっ!」

 


 いきなりキスされた。
 いや、一瞬、何が起こってんのかは、わからなかった。
 体格差にいわせて頭を手で挟まれて、口を押し付けられる。

 


 何?
 何が起こってんだ?

 


 一瞬固まってたオレは、何をされてんのか、理解すると早島を殴りつけた。
 で、水のみ場でせっせとウガイをする。
 勘弁しろ!
 罰ゲームでもあるまいし!

 


「そうくるか、お前はっ」

 


 早島は赤くなった左頬を押さえながら、ゲラゲラと笑いころげてる。
 ゼイゼイと息を切らせて、バカジが来た。

 


「なっ!何っ…何やってんすかっ…!」
「イタズラ」
「ダメっすよ!コレは俺のっ」
「だから、イタズラするんじゃん。言ったろ?」
「でも、ダメ〜っ!」
「ダメでも、賭けは俺の勝ち。あ〜、面白かった。ゴチソウサン」

 


 今、何て?
 賭け?
 イタズラ?

 


「今週は充実した練習できたなあ」

 


 瓢々とそう言ってストレッチしながら歩き去る後ろ姿を、呆然と見送る。

 


「じ、陣…?」

 


 もしも〜し、とバカジがオレの目の前でヒラヒラ手を振った。

 


「早島、いつかぶっ飛ばすっ」

 

 あ、陣がかえってきた。なんていうバカジの突っ込みも放置して、オレはもう一度念入りにウガイをした。

 

end