今、目の前で起こってるコレは、何だ?!
週末、たまには来て欲しい、と言われてグランドまでバカジを迎えに来た。
ガランとしてるグランドで、水のみ場近くにいてた真奈美に声をかけたら、外周にでてると言われた。
話をしていたら、ちょうどトップで早島のヤロウが戻って来て。
物凄い勢いで帰ってきた早島は、クールダウンもしないでゴールを通りこして、こっちに突進してきて。
で。
「よっしゃ、いただき!」
「何?!わっ!」
いきなりキスされた。
いや、一瞬、何が起こってんのかは、わからなかった。
体格差にいわせて頭を手で挟まれて、口を押し付けられる。
何?
何が起こってんだ?
一瞬固まってたオレは、何をされてんのか、理解すると早島を殴りつけた。
で、水のみ場でせっせとウガイをする。
勘弁しろ!
罰ゲームでもあるまいし!
「そうくるか、お前はっ」
早島は赤くなった左頬を押さえながら、ゲラゲラと笑いころげてる。
ゼイゼイと息を切らせて、バカジが来た。
「なっ!何っ…何やってんすかっ…!」
「イタズラ」
「ダメっすよ!コレは俺のっ」
「だから、イタズラするんじゃん。言ったろ?」
「でも、ダメ〜っ!」
「ダメでも、賭けは俺の勝ち。あ〜、面白かった。ゴチソウサン」
今、何て?
賭け?
イタズラ?
「今週は充実した練習できたなあ」
瓢々とそう言ってストレッチしながら歩き去る後ろ姿を、呆然と見送る。
「じ、陣…?」
もしも〜し、とバカジがオレの目の前でヒラヒラ手を振った。
「早島、いつかぶっ飛ばすっ」
あ、陣がかえってきた。なんていうバカジの突っ込みも放置して、オレはもう一度念入りにウガイをした。