悪いことした時は潔く土下座。
「陣っ、ごめんなさいっ!」
陣の部屋で、陣の前で、床にデコがつくくらいの土下座をする。
だって。
俺が早島先輩に負けなかったら、陣の唇は守れてたんだもん。
俺の足が遅いのが悪いんだぁぁぁ!!
「それより先にする事があるんじゃねぇ?」
はぁ、って溜息と一緒に陣が言う。
おそるおそる顔を上げて陣を見ると、擦り過ぎて赤くなった唇が目に入った。
早島先輩が陣にキスした時、ぎゅぎゅーって心臓が痛くなった。
そんで。
もし陣が自分から俺以外のヤツとキスしたら、って考えたら泣きそうになった。
陣の唇は、俺だけのものなのに……
よしっ!
俺は土下座を止めて、腹筋を始めた。
「なにやってんだ?」
「俺がやんなきゃなんないのは、トレーニングだろっ?腹筋でも筋トレでもなんでもやるっ!」
「あのなぁ、」
「絶対絶対っ、早島先輩に勝って陣を守るんだっ!」
「わかってねぇなぁ、お前は」
「ぐぇっ!」
陣が俺のお腹の上にまたがるようにして座りやがった。
「一番先にしなきゃいけねーのは、口直しだろ」
眼鏡が顔に当たって。
陣の唇が、戻ってきた。
俺のトコに。
「じん〜」
「なに?」
「おかえりっ」
「はぁ?!……ってぇ、このバカっ!」
体を反転させて床に押し倒すと、陣の眼鏡がずれた。。
脇腹殴られるのとキスすんのが同時で、陣の口の中で「うぐっ」って呻いちゃった。
痛いけど、離れるもんか。
この唇も。
この温もりも。
陣のすべて、俺のモン。
誰にもやんない。
絶対絶対っ。
早島先輩から陣を守るんだっ!