イタズラしちまえ!編 3

 

 

 悪いことした時は潔く土下座。
「陣っ、ごめんなさいっ!」
 陣の部屋で、陣の前で、床にデコがつくくらいの土下座をする。
 だって。
 俺が早島先輩に負けなかったら、陣の唇は守れてたんだもん。
 俺の足が遅いのが悪いんだぁぁぁ!!

 


「それより先にする事があるんじゃねぇ?」
 はぁ、って溜息と一緒に陣が言う。
 おそるおそる顔を上げて陣を見ると、擦り過ぎて赤くなった唇が目に入った。

 


 早島先輩が陣にキスした時、ぎゅぎゅーって心臓が痛くなった。
 そんで。
 もし陣が自分から俺以外のヤツとキスしたら、って考えたら泣きそうになった。

 


 陣の唇は、俺だけのものなのに……

 


 よしっ!
 俺は土下座を止めて、腹筋を始めた。
「なにやってんだ?」
「俺がやんなきゃなんないのは、トレーニングだろっ?腹筋でも筋トレでもなんでもやるっ!」
「あのなぁ、」
「絶対絶対っ、早島先輩に勝って陣を守るんだっ!」
「わかってねぇなぁ、お前は」
「ぐぇっ!」
 陣が俺のお腹の上にまたがるようにして座りやがった。

 


「一番先にしなきゃいけねーのは、口直しだろ」

 


 眼鏡が顔に当たって。
 陣の唇が、戻ってきた。
 俺のトコに。

 


「じん〜」
「なに?」
「おかえりっ」
「はぁ?!……ってぇ、このバカっ!」
 体を反転させて床に押し倒すと、陣の眼鏡がずれた。。
 脇腹殴られるのとキスすんのが同時で、陣の口の中で「うぐっ」って呻いちゃった。
 痛いけど、離れるもんか。

 


 この唇も。
 この温もりも。
 陣のすべて、俺のモン。
 誰にもやんない。

 


 絶対絶対っ。
 早島先輩から陣を守るんだっ!

 

 

end